或る日、田舎の僕の住む家にヒゲ面の大男がやって来た。幼い僕には『知らないオジサン』だった。その我がままなオジサンは座敷で大の字になって高イビキで寝ていた。囲炉裏端で火に木をくべながら父、龍之介が『お前のお兄さんだ。鼻をつまんで起こして来な!』と・・・。恐る恐る忍び足で近づいて小さな手で鼻をつまんだ途端『ウォー!』と振り払われた。僕は驚いて泣いてしまった。怖いオジサンは、親子ほどに年の差のある長男で、海軍航空隊飛行兵の生き残りだった。短い鍔の白いカバーのかかった帽子を被り、桜と錨の七つボタンの白い上下の軍服にサーベルを下げた凛々しい写真と、飛行場がある全国各地の配属先を転々とした軍隊手帳を後で見つけて、兄の存在をあらためて認識した。戦争では散らなかった兄も今では散ってしまったが、彼も末っ子の僕の存在を知らなかったようだ。神風特攻の時代がウソのように先日、首相官邸にドローンが墜落した。ドローンも過去の尊い命の犠牲の上に開発されたのだろうが、姿が見えない敵が多数存在する昨今、鈍感な僕たちは『平和』だと勘違いしていないだろうか?いや、戦った昔よりも危険な時代だと認識すべきではないのか。二度と戦争をしないと誓った憲法も、平和活動と言いながら軍事協力と思われるような法改正なども将来的に平和が保証されるとは思えない。その上、このところ世界中が『ザワザワ』しているような気がしてならない。
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