チャキチャキの江戸っ子で少しそそっかしい母が晴れ着を着て僕の手を引き、桜が満開の小学校に向かった。ランドセルを背負って金ボタンの制服を着せられ歩いて5~6分ほどの小学校にたどり着くと、いつに無く静かだった。そう、その日は日曜日で入学式は翌日だった。二人は照れて隠し笑いしながら目と鼻の先の学校から家に戻った。入学式も無事済み、毎朝決まって隣村の豆腐屋のミッチャンが僕の家に寄って、朝ご飯をのんびり頂いている僕を待ってくれ、毎日手をつないで桜の木に囲まれた小学校に登校していた。今の子たちが言う『ラブラブ?』だ。女の子は子供の頃から、おマセで面倒見がいい。こんな軟弱な僕に比べると、二つも奥の村から毎日一里の距離を歩いて登校してくる分校の子供たちがいた。遠足で、その分校まで歩いたが登り坂の砂利道はきつかった。彼達は給食のコッペパン(マーガリン付き)とミルク(脱脂粉乳)では足りず、必ずドカ弁を持って来ていた。桜舞い散るグランドの片隅には、柴の背負子を背負って書を読みながら歩く二宮金次郎がいた。
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