8月28日は「ヴァイオリンの日」。

明治13年(1880)8月28日、東京深川の松永定次郎という人が初の国産ヴァイオリンを製作。これを記念したものです。当時は提琴(ていきん)と呼ばれ上流階級の子女が習って広まっていきました。明治の終わり頃になると自由民権運動の活動家たちが新しい思想を広めるために「ラッパ節」(*1)などの『演歌』を生み出し、その演歌歌手たちの伴奏にヴァイオリンは無くてはならないものになります。このヴァイオリンと演歌という組合せは大正時代になると更に普及し、演歌自体はやがて政治思想からは離れた享楽的なものに変化して行きヴァイオリンを片手に歓楽街を回る「流し」の演歌師などが生まれます。

戦後は演歌の伴奏の主役はギターに取って代わられるようになり、ヴァイオリンがポピュラーソングに使われることはむしろ稀になってしまいました。現在では、主としてクラシックとムード音楽での利用が主となっています。

西洋でヴァイオリンが誕生したのはだいたい16世紀後半といわれています。発明したのはガスパーロ・ダ・サロという人とされますが異説もあります。ダ・サロはブレシャの人ですが、それに少し遅れてクレモナでアマティがヴァイオリン製作を始めます。この息子Nicolo(1596-1684)の弟子に有名なアントニオ・ストラディバリ(1644-1737)がいます。また、ストラディバリの兄弟子のAndrea Guarnieri はストラディバリと並ぶ名器の作者Giuseppe Guarneri(1687-1745)の叔父になります。何だかややこしいですが同名の従兄弟がいるので紛らわしいです。この時代は一族で技術を継承しているので同じ「ストラディバリ」と言っても、アントニオの息子が作ったものなどはお値段もぐっと下がるそうす。Antonio Stradivariが制作したヴァイオリン族は現在でも600個ほど残っているそうです。その中でも円熟期の作品は、破格の名器として存在しています。

ストラディバリが高価なのは、この時代から300年以上たった今でも,これを越える音を出せるヴァイオリンがどうしても作れないからです。何度か行われている解体修理の際に、かなり細かいデータの採取なども行われているようですが、それにもとづいて同じように作っても、やはり同じ音は出ないという訳でストラディバリを越えるものを作ることは21世紀の楽器製作者への宿題として未だに残されているのです。

なお、ヴァイオリン族は最初は大きさ(音域)により、ヴァイオリン、アルト・ヴィオラ(現代のヴィオラ)、テノール・ヴィオラ、チェロの4種類でしたが、その内テノール・ヴィオラは使われなくなり、後にコントラバス(ダブルベース)が誕生して、結局4種類になっています。ただし奏法の違いからコントラバスはヴァイオリン族とはみなさない人も多いです。

ヴァイオリンは一流の弾き手になるには3歳頃から習得することが必要と言われていますが、趣味で演奏する分には、大人になってから習い初めても比較的習得が容易な楽器のようです。実際60代になってから始めたという私の知人もおります。

ノコギリのような音を出してしまう人がいますが、あれは弓が本体に対して正しい90度をなしていないため。その状態で弓を引くと、弓が揺れるためらしいです。しっかり持っておくと良いのでしょうが,慣れるまではきついでしょうね。

なおマンションなどで実際のヴァイオリンでの練習がしづらい人のために最近は共鳴胴がなくヘッドホンで音を聞ける電気式のヴァイオリンも発売されていますので、まずはそういうもので練習するのも良いのかも知れません。

なお、子供用にはミニスケールの3/4, 1/2, 1/4, 1/8,1/10, 1/16 などといったヴァイオリンも販売されています。1/16なんてのは2~3歳くらいの子供用ですね。3歳から与えれば天才間違い無し?ですね。

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8月28日は「ヴァイオリンの日」。 への2件のフィードバック

  1. oldbadboy のコメント:

    バイオリンは顎と鎖骨で挟んで演奏するので、骨を伝って本人には大きな音が聞こえますが、周囲にはそれほど響いてないようです。たどたどしい演奏をしているのに、家族が何も言わないので尋ねてみたら、あまり聞こえないと言われたことがあります。、むしろ週に迷惑をかけるくらい大きな音が出るなら、なかなかの良い楽器ということになる感じですね。

  2. iida のコメント:

    管楽器と違って,甲高い音ではないので大丈夫なんですね。しかし,同じ弦楽器仲間でもアコースティック・ギターの弦をスチールに代えてからは音が硬く大きくなって,室内で引くのも遠慮がちです。ヴァイオリンとの音の違いは胴の大きさですかね。ましてやピックなど使えば猶更大きく響くので,指で静かに練習するしか無いですね。

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